『カサンドラ・クロス』や『ザ・クレイジーズ/細菌兵器の恐怖』において猛威を振るった生物兵器
【画像:Amazon.co.jp: カサンドラ・クロス (字幕版)を観る | Prime Video】
しかしこの生物兵器は何もフィクションの中にだけ存在するものではありません
実際現実の世界で何度も、そして何種類も使われた歴史があります
では有名な生物兵器や細菌を、いくつか紹介いたしましょう
皆さんも修学旅行などで見たことがあるだろう「奈良の大仏」
実はこの大仏、「天然痘」という疫病に対して、これを仏の力で鎮圧しようと聖武天皇が作ったものなのです
医療技術が乏しかった当時の日本
天皇は「天然痘」という見えない敵に対して、形ある大仏をたて、人々の不安を抑えようとしたのです
天然痘への対抗手段として日本で行われた「見える化」は、他にも多数存在します
例えば鳥居は、これをくぐって参拝をすることで厄が払われ、疫病対策になると信じられていました
赤べこや飛騨の赤猿などもこの厄除けのために作られた品です
因みに赤色は「疱瘡神」という天然痘を司る疫病神の色です
天然痘は日本だけに留まらず、世界でも多くの死者を出しました
8千万の人口をほこったアメリカ大陸では、約50年間で7千万人の死者が出ました
またインカ帝国では、人口の60~94%が天然痘により死亡し、これがインカ帝国崩壊に繋がったとされています
全人類史上、最も多くの被害を生んだ疫病なのです
とても恐ろしい天然痘ですが、これを国家的に“利用”したのが昔のスペインです
天然痘に対する免疫ができつつあったスペインは、この疫病を進軍のため、つまり生物兵器として用いたのです
インカ帝国やアステカ帝国の滅亡、南北アメリカへやサンドミンゴ島の疫病被害などはこの侵攻が原因とされています
スペインだけでなく、英国も天然痘を生物兵器として利用した過去があります
英国の敵国であるフランスはインディアンたちと手を組みました
しかしこれをよしとしなかった英国
フランスと同様インディアンと手を組む…フリをして、その友好の証として彼らへ送った毛皮へ天然痘ウイルスを仕込んだのです
このように過去に猛威を振るった天然痘ですが、今ではしっかりとした対処法が確立されています
感染者に出る特有の発疹、人間にしか感染しないという特徴、そしてエドワード・ジェンナーによる天然痘ワクチンの開発成功など、ウイルス撲滅のための条件が揃った結果、天然痘は過去の遺物となりました
ところで過去に天然痘撲滅のため行われた作戦はとても画期的でした
貧民にまでワクチンを行き渡らせるために、「患者1人発見につき1ドル」という懸賞金制度を設けたのです
その結果人々は次々と感染者を見つけていき、やがてウイルスはなくなりました
なお賞金は最終的に1000ドルまで上がったそうです
現実で流行した病のうち、致死率が最も高かったのは「コレラ」です
コレラは世界初の流行病で、発祥地はガンジス川の下流、水を媒介として感染していきます
通常、地域や気温、気候によって感染者が限定される流行病ですが、水があればどこでも感染拡大するコレラは、人類へ大きな被害をもたらしました
人類史上致死率No.1の感染症「コレラ」
フランスでは10万人、英国では14万人など、世界的に多くの死者を出しています
ヨーロッパにおいては産業革命や戦争、そして見た目の清潔さより心の清らかさを重んじるキリスト教の風習によって不衛生な環境がはびこっており、これが感染拡大に拍車をかけました
ところで過去に天然痘撲滅のため行われた作戦はとても画期的でした
貧民にまでワクチンを行き渡らせるために、「患者1人発見につき1ドル」という懸賞金制度を設けたのです
その結果人々は次々と感染者を見つけていき、やがてウイルスはなくなりました
なお賞金は最終的に1000ドルまで上がったそうです
現実で流行した病のうち、致死率が最も高かったのは「コレラ」です
コレラは世界初の流行病で、発祥地はガンジス川の下流、水を媒介として感染していきます
通常、地域や気温、気候によって感染者が限定される流行病ですが、水があればどこでも感染拡大するコレラは、人類へ大きな被害をもたらしました
人類史上致死率No.1の感染症「コレラ」
フランスでは10万人、英国では14万人など、世界的に多くの死者を出しています
ヨーロッパにおいては産業革命や戦争、そして見た目の清潔さより心の清らかさを重んじるキリスト教の風習によって不衛生な環境がはびこっており、これが感染拡大に拍車をかけました
主に欧州で感染を拡大したコレラですが、日本でも菌が拡がってしまいます
そのきっかけとなったのがペリー来航でした
なんとペリー艦隊のミシシッピー号にコレラ患者が乗っていたのです
結果日本でも26万人の死者が出て、これを抑えられなかった幕府への不満が募り、攘夷運動が起こったとされています
一定期間内での死者数が人類史上最も多かった疫病は「ペスト」です
ヨーロッパの人口のうち1/3を死滅させたこの菌は、クマネズミという害虫から人間に広まっていきました
感染すると皮膚のあちこちに出欠斑がでて、やがて全身が黒い痣だらけになったのち死亡することから、「黒死病」とも呼ばれました
黒死病ことペストによるパンデミック、はじめヨーロッパや古代エジプトを中心に流行していました
しかし14世紀に起こった2回目のパンデミックでは、世界規模で多くの死者を出しました
その数、なんと4年間で約7500万人
因みにこれはモンゴル帝国による侵攻や交易、民族の移動などが原因とさせています
欧州を中心に流行したペスト菌ですが、発祥地は意外にも中国です
しかしこの疫病が異国の地で猛威を振るったのには訳があります
それは都市が不衛生だったことに加え、農業革命による森林伐採が糸を引いたからです
森がなくなり、ネズミの天敵であった獣が少なくなった結果、害虫がより増殖したのです
ヨーロッパの都市の不衛生さが招いたペスト菌の大流行
これにより、そもそも外見の不潔さを良しとしたキリスト教の威厳が人々の中で薄れていきました
結果当時キリストの教え掲げていたフランスが弱体化し、英国が台頭
現在英語が世界で通じる言語となっているのには、このような歴史的背景があります
多くの死者を出したペスト菌ですが、この細菌も兵器として利用させた過去があります
例えばモンゴル帝国
かの国はクリミヤ戦争の際、ペスト菌で死んだ遺体を投石機により敵国の城内へ飛ばしたとされています
また現在では吸血鬼の名として広まるドラキュラ伯爵も、このペスト菌を兵器利用した人物です
串刺公ヴラドといえば、『吸血鬼ドラキュラ』のモデルとなった人物として有名です
ワラキアという国で恐怖政治をしいたこの王は、オスマン帝国との戦争際、ペスト菌を兵器利用しました
そしてこのようなペストの兵器利用に関して、非人道的な研究をしていた部隊もありました
それが「731部隊」です
ペストの兵器利用に関する研究をした「731部隊」
なんとこれは大日本帝国陸軍関東軍に所属した隊です
満州へ出兵したこの部隊は、ペスト菌感染実験をはじめ、敵兵に対する数々の非人道的な実験を行ったとされています
そしてその研究結果は大国が喉から手が出るほど欲したものばかりだったそうです
ペストの兵器利用に関する研究をした「731部隊」
実際この非人道的な内容は映画にもなっています
それは『黒い太陽七三一』というシリーズで、計3部のストーリー構成からなり、その内容はとても残虐で目を覆うほどのものでした
なおこの映画は香港が、過去の実話を元に製作した映画となっています
これまで紹介した細菌の兵器利用
ここから考えさせられる内容は、やはり一番恐ろしいのは菌ではなく人間だということです
生物兵器は敵を殺すためではなく、生かしながら苦しめることを目的に使用されます
菌に感染した瀕死の味方を救うため、貧窮し自滅する敵兵
人と人との絆を逆に利用しているのです
今回は、パンデミック映画から見る細菌兵器について過去に投稿した記事をまとめました。
そこから見えるのは、一番怖いのは、人間という事です。
まとめた、ブログ記事は、以下にあります。
#細菌兵器#コロナ#パンデミック