ゾンビ

『ザ・クレイジーズ/細菌兵器の恐怖』を手掛けた監督、ジョージ・A・ロメロは数年後の1978年に映画『ゾンビ』を公開し、これが世界中で大ヒットします

【画像:ゾンビ」日本初公開復元版、11月29日公開! “惑星爆発の光”とらえたビジュアル発表

いまでは主流となったゾンビ映画ですが、この『ゾンビ』という映画は「ゾンビ映画」というジャンルを確立するに至る、その最初の作品として有名です

そもそも「ゾンビ」とは、ブードゥー教の中で「生ける死体」という意味をもった言葉として知られています

【画像:【恐怖】ゾンビパウダーが存在していたことが判明 – livedoor

ジョージ・A・ロメロ監督は世間で馴染みのない「ゾンビ」というものを使ったホラー映画として『ゾンビ』を製作し、そのインパクトの大きさや巧妙なマーケティングによって大ヒットを記録しました

映画における細菌感染とゾンビは、実は異なるものなのです

細菌感染とは違い、元々ゾンビは、星が爆発することによって出た光線が地球に差し、それが墓に眠っている死者を蘇らせることでできたものです

【画像:ゾンビサスペリア版

感染映画で上手くいかなかったロメロ監督は新たに「ゾンビ映画」というジャンルを作り出したのです

映画『ゾンビ』にはいくつかの特徴があります

まず挙げられるのは、主人公が当時としては異例の黒人であるという点です

【画像:映画『グリーンブック』公式サイト

【画像:ゾンビサスペリア版

当時のアメリカでは今以上に黒人への差別意識が強く、特に南部地域では、黒人が泊っても安全な宿屋一覧、いわゆる「グリーンブック」なる物まであったほど、差別は浸透していました

「グリーンブック」は、これがそのままタイトルとなった映画『グリーンブック』という作品が作られたほど、当時のアメリカでは周知されていました

【画像:No.420 サンシティ名画劇場「グリーンブック」

コンサートツアーのためにアメリカ最南部を回ることとなったジャズピアニストと、その運転手兼ボディガードが登場する実話を元にした映画となっています

映画『ゾンビ』の特徴として最も大きいのは風刺です

風刺の主な対象は、1975年まで続いたベトナム戦争だと言われています

【画像:【ベトナム人の兵役事情】対象者や訓練内容、処罰まで詳しく紹介


【画像:駐日ロシア連邦大使館 – Twitter

【画像:ドーンオブザデッド Dawn of the Dead Zombie【ロメロ】

欧米人からすると顔が薄いベトナム人や、顔を引き締め無表情で行進をするロシア軍人たちの顔を、さながら理性を失い襲ってくるゾンビのようだと、そう例えたのではないでしょうか

欧米人にとってアジア人の顔は薄いようで、それを揶揄されることもしばしばあります

映画で言えば『猿の惑星』の風刺でそれが用いられました

【画像:新・猿の惑星||洋画専門チャンネル ザ・シネマ

【画像:旧日本軍を学ぶためにおすすめ本 – ぱやぱやくん日記

【画像:Over Coat. : HUNKY DORY OSAKA BLOG – livedoor

猿が人間を支配するという衝撃的な内容の映画ですが、猿は大日本帝国の軍隊、人間は彼らに不当な支配を受けたイギリス人を風刺するものだと言われています

映画『猿の惑星』に登場する猿は、かつて西アジアや東南アジアへ侵攻した大日本帝国の軍隊を

【画像:新・猿の惑星||洋画専門チャンネル ザ・シネマ

【画像:旧日本軍を学ぶためにおすすめ本 – ぱやぱやくん日記

猿に支配された人間は、日本軍に自分たちが元々植民地化して住んでいた東南アジアの領土を奪われたイギリス人を

それぞれこのような風刺が見られるのです

この『猿の惑星』ような風刺映画の人気は高いです

映画『ゾンビ』の風刺対象は社会主義国家やベトナム人だけではありません

資本主義国家もその対象だったように思われます

【画像:ゾンビの聖地モンローヴィル・モールの巻 – 豆blog / 豆ブログ:豆魚雷のフィギュアレビュー

例えば作中では、ショッピングモールへ立てこもった主人公たちが、感染の広まったその時点ではもう意味をなさない金銭を、ショッピングモール内からかき集める姿が描かれています

ホラー映画でもありながら、風刺映画でもある『ゾンビ』

当時この映画を初めて見たアメリカ人の客たちは、数年前に体験したベトナム戦争の現場を思い出したのではないでしょうか

【画像:ドーンオブザデッド Dawn of the Dead Zombie【ロメロ】

【画像:【ベトナム人の兵役事情】対象者や訓練内容、処罰まで詳しく紹介

無表情な動く“生き物”と、グロテスクな描写、そして意味のない習慣、多くの皮肉が込められたロメロ監督不朽の名作です

映画『ゾンビ』の特徴は内容面だけではありません

そのマーケティングにも注目すべきポイントがあります

【画像:日本公開40周年! 映画『ゾンビ ─日本初公開復元版─』劇場公開サポーター募集!

当時は「ゾンビ」自体があまり知られていなかったため、この映画の宣伝には“噂”が使われたと言われています

有名人による口コミなどから噂を広め、そこから映画の情報を浸透させていったのです

宣伝をする上で「噂や口コミを利用する」という行為は、私の運営する“ネット記事”という分野でもよく行われる手法のです

しかし映画『ゾンビ』は噂を広めた上で、更なる広告を使い、客にインパクトを与えることで、このマーケティングを成功させました

【画像:ゾンビ」日本初公開復元版、11月29日公開! “惑星爆発の光”とらえたビジュアル発表

私の記事はこちら↓

https://xn--u9jy52gltai77a119b6fc.com/

映画『ゾンビ』で広告の一環として使われた「噂」

そんなに上手くいかないでしょw

と思われるかもしれませんが、例えば今大人気『鬼滅の刃』は、明石家さんまさんがテレビで「面白い」と言ったことがきっかけで広まったとも言われています

【画像:明石家さんま64歳、大人気コミック『鬼滅の刃』を学習中!可愛くて仕方がない推しキャラは○○〇。

『ゾンビ』も有名な俳優による絶賛コメントがあったそうです

映画『ゾンビ』の宣伝において、有名人に絶賛してもらうというステップはとても大きな意味をもちました

誰もが知っている人気者の言葉を聞いた人々は、深い興味を抱いたことでしょう

有名人の動向というのはみな気になるものです

【画像:明石家さんま64歳、大人気コミック『鬼滅の刃』を学習中!可愛くて仕方がない推しキャラは○○〇。

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「『ゾンビ』という映画が面白いらしい」という噂を耳にした人々のうち一定数はその情報に興味をもったでしょう

そこへCMによる宣伝広告を投入しました

そのCMは

【画像:『ゾンビ -日本初公開復元版-』 | 毒沼地のゾンビマン

「エレベーターのドアが開くと、そこから大量のゾンビが入ってくる」

という内容で、これは客へ大きなインパクトを与えたことでしょう

マーケティング戦略のとれたインパクトのある宣伝方法

また日本国民にとっても近くのベトナムで行われていた戦争の状況がある程度伝わっていたこと

【画像:日本公開40周年! 映画『ゾンビ ─日本初公開復元版─』劇場公開サポーター募集!

これらの条件が重なって日本においても、映画『ゾンビ』の人気はうなぎ登りでした

そして今なお多くのゾンビ映画ファンの中で語られる不朽の名作です

映画『ゾンビ』はホラーと風刺の要素を併せ持つ作品であり、かつとても画期的なマーケティング方法で大ヒットを飾った作品です。

【画像:ドーンオブザデッド Dawn of the Dead Zombie【ロメロ】

実はこの作品に登場するゾンビのエキストラは、ロメロ監督の故郷ピッツバーグの住民だったそうです

元々故郷に対する町興しの一環として作った映画だったのです

故郷への恩返しの一環として作られた『ゾンビ』は、今でも映画ファンの間で語られる不朽の名作となりました

【画像:『ゾンビ』ファン夢のイベント“ゾンフェスVol.01”リポート!

昨年私もこの映画が府内の映画館で復元版公開されると聞き、足を運びました

大学の教授がゾンビの格好をして出てくる余興などもあり、それほどの人気を誇るこの映画の魅力を改めて認識しました

感染映画と言われると、『新感染シリーズ』や『バイオハザードシリーズ』など、爽快感があるアクションや戦闘が見物である映画と思われるかもしれませんが、元々の起源は『ゾンビ』という、ホラーと風刺を併せた画期的で新しい映画にあったのです

【画像:バイオハザード : 作品情報 – 映画.com

【画像:新感染 ファイナル・エクスプレス – 作品 – Yahoo!映画

興味もたれた方は、是非この機会に見てみてください

正直『ザ・クレイジーズ/細菌兵器の恐怖』の独特な世界観は、あまり聴衆受けしませんでした

日本においては、2010年に渋谷の映画館で4週間限定公開された程度の知名度しかありません

【画像:日本公開40周年! 映画『ゾンビ ─日本初公開復元版─』劇場公開サポーター募集!

しかしファンの間では、巨匠ジョージ・A・ロメロ監督の処女作ということもあり、この映画は密かな人気を集めるのです

『ザ・クレイジーズ/細菌兵器の恐怖』の独特さは、そのエンディングにもあります

いわゆる“ふつうのパニック映画”では、ヒーローがゾンビや悪を倒してのハッピーエンド、あるいは倒せないバッドエンドなど、はっきりとした結論があります

【画像:ザ・クレイジーズ – 作品 – Yahoo!映画

しかし『ザ・クレイジーズ』に明白なエンディングはありません

明白なエンディングがない、という特徴は『ゾンビ』にもいえるものです

ラストで生存者たちは、ヘリに乗りゾンビ地帯からの脱出を試みます

【画像:Dawn Of The Dead 1978 (Japanese Dub) FULL

しかしそのヘリの燃料が少ないことが判明した、そのシーンで映画は終わるのです

なんというか先行きが見えない、かつ中途半端なところでエンドロールとなります

『ザ・クレイジーズ/細菌兵器の恐怖』に出てくる登場人物のセリフで

「一体、どっちの方がキチガイなんでしょうね?」

というものがあります

【画像:映画『クレイジーズ』予告編 – YouTube

感染した市民はもちろん、上からの一方的な抑圧命令をただ実行する兵隊や、最悪街のすべてを焼き払う覚悟の軍の上層部、すべてがクレイジーだったんでしょうね

『ゾンビ』のある場面において、主人公一行の一人が

「ゾンビなんて恐れるに足らない。頭を撃ってしまえばいい」

というようなセリフを言います

しかし主人公はこれに対し

「お前の大切な人がゾンビになったら、撃てるのか?」

【画像:「ゾンビ」ケン・フォリー&ゲイラン・ロスの来日決定!プレミア上映会に登壇

と聞きます

人間には感情があり、それが人間の弱点にもなるということです

今回は、かつて投稿した、ゾンビ映画の原点である「ゾンビ」のツィートをまとめました。
この映画は、単にゾンビの恐怖を描いたものではなく、原作者の過去の経験として日本軍アレルギーそしてその当時、ベトナム戦争・東西冷戦といった社会情勢を風刺した作品として紹介しました。

この映画のロメオ監督は、前作が、「ザ・クレイジーズ」でした。
前作が、細菌によるパニック、今回は、惑星爆破による光線によるパニック。
両作品とも相通ずるものがあり、現在のコロナ禍の社会パニック状況と風刺とることもできます。
そういう意味で、この映画を見ると又学びがあるように思います。

今回の内容は、以下のブログにまとめましたので、参考までに

#ゾンビ#コロナ#パンデミック

『ザ・クレイジーズ/細菌兵器の恐怖』を手掛けた監督、ジョージ・A・ロメロは数年後の1978年に映画『ゾンビ』を公開し、これが世界中で大ヒット...

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