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洗脳をテーマにした映画
次に紹介するのは『フルメタル・ジャケット』です
【画像:フルメタル・ジャケット – 作品 – Yahoo!映画】
この映画は先日紹介した洗脳の3段階を、リアルに描いた作品となっています
舞台はベトナム戦争時のアメリカ海兵隊
物語序盤、海兵隊志願者の身分であった主人公一行は、サウスカロライナ州のキャンプ地で過酷な訓練を受けます
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洗脳の3段階が描かれている映画『フルメタル・ジャケット』
映画前半で登場したキャンプの鬼教官ハートマン軍曹は、海兵隊志願者たちに過酷な訓練を与えました
【画像:スタンリー・キューブリック作品/フルメタル・ジャケット | 映画】
その中身は徹底的な叱責と罵倒、体罰なんて当たり前、連帯責任による懲罰
そしてこれらを閉鎖的空間で何日も繰り返すことによるいじめの発生
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『フルメタル・ジャケット』
ハートマン軍曹による過酷なキャンプは徐々に海兵隊志願者たちの自尊心を削っていきました
これが洗脳の第1段階である「解凍」です
元々あった価値観や自尊心を砕いていくのです
【画像:フルメタルジャケット – POPcorn】
そしてハートマン軍曹は次の段階として「変革」を行います
訓練生たちに“恋人”を作るのです
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『フルメタル・ジャケット』
ハートマン軍曹の行った洗脳の第2段階目「変革」
それは訓練生たちに自分の拳銃を“女”として考えるよう命令することでした
【画像:『フルメタル・ジャケット』キューブリックが描いてきた幼児性と狂気の関係※注!ネタバレ含みます。】
もちろん我々からしたらそんな内容は信じられないですが、自尊心を削られた落ちこぼれ訓練生レナードは、これを機に拳銃の腕をめきめき上げ始めます
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『フルメタル・ジャケット』
ハートマン軍曹の行った「変革」によって落ちこぼれ訓練生レナードは拳銃の腕を上げました
これによりかつての彼ではなしえなかったかもしれない訓練をやり遂げ、結果的に高い評価を得またのです
【画像:フルメタル・ジャケットは軍曹と微笑みデブの寸劇!感想とネタバレ】
しかし過酷な訓練により精神に異常をきたしていた彼はある事件を起こします
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『フルメタル・ジャケット』
ハートマン軍曹の繰り出す過酷な訓練をやり遂げたかつての落ちこぼれ訓練生レナード
しかし彼は卒業式の夜、ハートマンを射殺し、自らも命を絶ってしまいました
【画像:きびロウ@リリカル優笙思想 on Twitter: “ライナーの例の画像見るたび思うけど】
洗脳の段階が彼には過酷すぎた結果、彼の精神が耐えきれずおかしくなってしまったため起きた事件だったのです
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『フルメタル・ジャケット』
過酷な訓練に、軍曹と訓練生の死、これらを乗り越えた主人公ジョーカーは一人前の海兵隊員となりました
そして彼らは戦火の地、ベトナムへと出兵
そこでは洗脳の最終段階「再凍結」が待っていました
【画像:『フルメタル・ジャケット』キューブリックが描いてきた幼児性と狂気の関係※注!ネタバレ含みます。】
ジョーカーは訓練所の同期カウボーイと再会し、彼らの小隊に同行します
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『フルメタル・ジャケット』
戦地にてかつての同期カウボーイたちに同行していたジョーカー
しかし交戦地帯にて小隊長や分隊長を失います
【画像:フルメタル・ジャケット_反戦でも好戦でも厭戦でもない写実的戦争映画【7点/10点満点中】(ネタバレあり・感想・解説)】
そしてカウボーイも廃ビルの陰に隠れますが、崩壊した壁の間から撃たれた銃弾に倒れてしまいます
残されたジョーカーらは仲間の無念を晴らすべく復讐を決意します
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『フルメタル・ジャケット』
砲撃やブービートラップで還らぬ人となった上官たち、そして被弾し倒れたかつての同期カウボーイ
彼らの復讐を決意したジョーカーらは、仲間を撃った狙撃兵がいると思われるビルに忍び込みます
【画像:ファミコンウォーズがで~たぞ♪【フルメタル・ジャケット】ハートマン軍曹に罵られたいあなたにおすすめ!】
しかしそんな彼の目に映った狙撃兵の正体は、なんとまだ若い少女だったのです
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『フルメタル・ジャケット』
憎き復讐の相手がまだ幼い少女であることを知ったジョーカー
ビルに忍び込んだ彼でしたが、少女から返り討ちにされそうになります
【画像:フルメタル・ジャケットのTwitterイラスト検索結果(古い順)。】
しかし間一髪で駆け付けた仲間が少女に銃弾を浴びせ、ジョーカーは助かります
虫の息となった彼女はジョーカーにとどめを刺すよう頼みました
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『フルメタル・ジャケット』
少女に自分を殺すよう頼まれたジョーカー
大切な仲間を殺した憎き敵でありながら、まだ年端もいかないその狙撃兵に、彼は銃口を向けました
【画像:フルメタル・ジャケット』:戦争とは何か:映画の水たまり】
そして彼は様々な思いの中で、拳銃の引き金を引いたのでした
これが信仰の力で高い壁を越えさせる、洗脳の最終段階「再凍結」です
『フルメタル・ジャケット』
物語の最後、ジョーカーは五体満足である喜びを感じ、高らかに歌い、そして闇夜の戦場を軍行します
過酷な訓練により「解凍」された自尊心
それらを埋める“女”や仲間を見つけた「変革」
【画像:人生論的映画評論: フルメタル・ジャケット(’87) スタンリー・キューブリック】
少女の射殺によって壁を越えた「再凍結」
結果彼は幸福を感じ、洗脳は終了したのです